補修作業⑨ 作品の破損が見つかる

引き続き、ラッピングシートの除去を進めている。
ようやく目玉が見えてきた。

また、ラッピングシートの下から作品の破損部分が見つかった。

FRP=ガラス繊維強化プラスチック は文字通り、プラスチックをガラス繊維で強化したものである。この部分はプラスチック部分が破損し、補強のためのガラス繊維が露呈し、クラック ( ヒビ ) が入っている。この部分に大きな外圧がかかったと思われる。


なぜこのような破損が起こったのか?
作品の改変や撤去の詳細は知らされていないので推測の域を出ないが、二つの可能性が考えられる。

一つは作品の内部配管撤去時の破損である。

以前の投稿で、作品の内部配管が取り除かれていたことを書いた。この作業は、作品内部の奥にある右手部分のネジを外さないと出来ない仕様になっている。本来あるべき過程を経ずに配管を外すには、作品内部に無理矢理、人が入り込まないと出来ない。作品を横倒しにして、その中に人が入り、這って奥まで行きネジを外す。その際に作業した人間の体重が作品の左手部分に集中してかかり、破損したのでは無いかと考えられる。

上の画像のように「頭部の鼻周辺」「両足」「左手」が作品を倒した際に接地しやすい。そして実際には「両足と左手の3点」が接地する形になる。その際に左手は曲面を描いており、両足よりも接地の圧力が一点に集中する。床にクッション等を敷かずに横倒しにする、横倒しにした上で荷重をかける、そのように粗雑に扱うと破損するのはこの箇所である。

二つ目の可能性は作品撤去の際にSOAK店内の扉にぶつけて破損した可能性である。
こちらも以前の投稿に書いたが、元の作品を搬入した際にはSOAK店内の扉のサイズと作品のサイズが近く、通過には相当の神経を使った。わざわざ専用の器具を用意して、作品を傾けながら中に入れた経緯がある。今回、無断で作品を撤去した際には、そのような器具の準備も無かったと予想される。うまく作品を通過させることが出来ず、作品を横にして頭から通過させ、左手部分を扉の突起部分にぶつけた。そう考えるとこのー字形の傷の説明もつくであろう。

個人的には、破損の原因は上記のどちらかだろうと推測している。
いずれにしても、作品の取り扱いとしては「非常に初歩的な配慮が欠けている」と感じざるを得なかった。

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