補修作業⑰ 深い傷の補修

作品全体につけられた傷の補修を進めていく。
まずは大きな剥離が複数発生してしている、右腕の下側を補修していく。

この右腕の下側部分に複数の剥離が起きている。

ライトを当てると剥離部分がハッキリと確認できる。表面のクリア層が丸ごと剥離しているようだ。
ゆで卵の殻を剥きかけている時のような、そんなハッキリとした段差が見られる。

塗膜の剥離で出来た段差を研磨してなだらかにしていく。


何度か研磨を繰り返した後に、ウレタンクリアを塗装して表面を滑らかにしていく。一度では完全に平滑にはならないので、研磨と再塗装を何度か繰り返して段差を埋めていく。


並行して、右側頭部周辺の傷の補修も進めていく。

写真ではわかりづらいが、これら右側頭部周辺につけられた傷は深く、研磨だけでは消すことが出来なかった。

赤色と白色の境目にマスキングを施し、赤色をペイントして傷を消していく。まわりと馴染むように薄く重ねながら、慎重に塗装を進めていく。カッターでつけられたと思われる傷のうち、表面の研磨だけで消すことが出来なかった傷の全てに、この作業を繰り返していく。


細かな塗装が入り組んでいる箇所の補修も進める。

模様が入り組んだ箇所にも傷が入っている。この場所は黒いループタイ周辺の白色部分に傷があるため、ループタイを保護するマスキングを施して白色がかからないようにしてから、白色の塗装で補修を進める。

白色を再塗装。ライトを当てて傷の消え具合を確認しながら、再塗装を進める。

傷をつけるのは簡単で一瞬のことだったであろう。

しかし、補修には膨大な手間と時間を要するのである。

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