現在も日々、「渋谷猫張り子」の修復を進めています。
修復過程を発信していく中で、「改変前の作品はどのようなプロセスで作られたか知りたい。」というお声を複数いただきました。そこで2019年から2020年にかけて行った「渋谷猫張り子」制作日記から抜粋したもの何回かに分けてお伝えしようと思います。
※画像は2019年から2020年に撮影した、改変前のオリジナル作品制作時のものです。
2019年6月初旬
東京ピストル (現 BAKERU)からの作品制作依頼を受け、渋谷にある事務所に伺う。シークエンスミヤシタパークのコンセプト、空間デザインなどをお聞きし、「手から水の出る猫をモチーフとする」という設置作品の方向性を確認する。
2019年6月19日 水曜日
まずは作品マケットを制作する。
マケットとは作品の縮小版模型のようなもので、これをしっかりと作り込むことで完成イメージのブレを無くすことが出来る。
私が制作している作品シリーズ「犬張り子」の頭部パーツを型取りする。
この頭部パーツを「渋谷猫張り子」の作品のベースとして使用する。画像の左に写っているのは「犬張り子」の雌型。
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2019年6月22日 土曜日
「犬張り子」作品の頭部は球体に近いプロポーションだったが、今回の猫作品はより愛らしくするため、やや横長のバランスに変更する。
頭部の変更をするために、頭部を分割して間に木材を挟みこんでいく。
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まず切断、分割するラインをレーザーで位置決めする。
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切断後の画像。エアソー (圧縮空気を使った小型のノコギリ)でカットした。
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頭部の切断面に合わせて木材をカットし、挟みこむ。
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ポリエステル樹脂を用いて木材を接着、同時に樹脂で目止めを行う。
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はみ出した樹脂を削り落とし、平滑に整えていく。
樹脂を削って、盛ることをを繰り返しながら、頭部の制作を進めていく。
2019年6月25日 火曜日
作品頭部にサーフェイサー(下地材)を塗装する。
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ひとまず頭部が完成。