返還された作品を修復するにあたり、作品状態の確認と記録を行う。
作品改変事件発覚後、作品を設置した現地での状況確認の機会がないままに撤去されてしまった。そのため、この距離で作品状態の確認、記録を行うのは初めてとなる。
作品改変が発覚してすぐの2022年の9月上旬、元・店舗運営を行っていた会社経由で改変に至る経緯を問い合わせた。しかし、なかなか返答が得られないため、作者であることは伏せて一般客として店舗を訪れた。その際には作品に近づくことは出来ず、店員に許可をとり、望遠レンズで作品の撮影を行った。それが改変された作品を自らの目で確認した、これまでで唯一の機会であった。
作品を回転させながら撮影して記録をとっていく。まずは全体の状態から。
ラッピングの状態を見ていく。
全体的にラッピングが密着している。
一方で、作品が凹型にえぐれている部分はラッピングが浮いている箇所が複数見られる。ラッピングが浮いているので、指で触るとブヨブヨしている。
↑ 作品右手下側と頭部の境目周辺。逆さの「NICE」の文字周辺が密着せずに浮き上がり、シワが寄っているのがわかる。
↑ 作品右手上側と頭部の境目周辺。ラッピングが密着せずに浮き上がり、多くのシワが寄っているのがわかる。またラッピングの「継ぎ目」を隠すために、短冊状にカットしたラッピングが重ねて貼り付けてある。
↑ 作品右手上部。長方形、テープ状など多くラッピングを重ねて貼り付け、継ぎ目を隠している。
↑ 作品左手下部。ラッピングの継ぎ目が集まっている。テープ状のラッピングが浮き上がっている。
作品表面はこのような状態でした。作品内部、作品底部の状態も確認していきたいと思います。